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次回の企画展

境界との調和
山本清人個展
2025.9.6〜9.21
作品について
私は球体を散りばめた特徴的な油彩の作品を多く制作してきました。
作品の中に現れる球体は命の種(たね)を意味しています。種(たね)は物事の始まりで『これから』の未来と希望に満ちた思いで描き続けていました。命の種(たね)がいろいろなところに飛散し、根をはやし、芽が出、花が咲いてくれたらと、それが未来に繋がると考え描いてきました。近作からは種から花へ、作品のモチーフを変化させています。
2023年6月に愛知県豊川市で起きた線状降水帯による豪雨災害で被災し、そして自然の猛威に人の無力さを強く感じると同時に、災害により死が目の前にあることも体感致しました。生と死とは紙一重であり、その時私が見た死の境界線は考え方を根底からひっくり返すぐらいに変わりました。ここに変化が生まれました。以前から描いていた命の種よりもっと強く命を表現し、描きたく、芽吹いた力強い花へとモチーフが変化していきます。今見えている現実の世界は天災、人災問わず一瞬で変化します。生と死も一瞬で振り分けられ、まるでどこかに誰かが線を引いたかのような感じにも思えるぐらいの死生観へと変化しました。生と死との境界線を表現の中心に苦悩しながら、境界の線を面で表現し壁へとへ変化し、描きました。描かれた花も見たままを描く花ではなく、命の強さをより強く表現したく私のフィルターを通し感じたままの花を描いており特定の種類の花としては描いてはおりません。作品は木製パネルに麻布、ジェッソを下地に塗り、ヤスリで研磨し油彩で着色しています。(F4はキャンバス)描写はペインティングナイフを多用し荒く絵の具を塗り、意図的にナイフの痕跡を残し、一瞬一瞬を閉じ込めるよう描く時の痕跡を重視しています。花の描写も色が複雑に混じり合う偶然性を大切に、その瞬間しか描けない花を同じようにペインティンナイフで描いています。私の作品は全体的に線(アウトライン)を描くことがなく、新しい試みとしてオイルパステルでアウトラインを描き作品の中に取り入れています。描く線が境界(境目)をより強く表現すると考えます。
彩墨は油彩画のためのドローイングです。ハガキサイズと小さいですが、ワトソン紙に彩墨で直色、インクでアウトラインを描いています。彩墨は新しい試みです。色々な変化も楽しんでいただけたら幸いです。
最後に、私自身いろいろな思いが詰まった作品の個展です。水の音様からお誘い頂き、岐阜での初の個展開催となりました。このご縁に心より感謝するとともに、お越しいただいたお客様すべてに深く感謝申し上げます。そして、この個展の作品たちが皆様の心のどこかに何かを感じ、記憶として残ることができたらと思います。どうぞ、ごゆっくりとご観覧いただけましたら幸いです。
山本清人経歴
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